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2022 May 27
Sailer Interviews

SailerインタビューVol.29

日本のどこかで「あのときの方ね」と再会できたら!

鶴田さん(60代)神奈川県横浜市

新しい一歩、日本語ボランティア研修

パソコン教室で主にシニアの方向けにパソコン、タブレット、スマホの使い方を教えています。仕事の隙間時間に、「何か人の役に立てることができれば」という思いが芽生えているときに、日本語ボランティア研修を受けませんかというチラシが目に留まりました。去年(2021年)の秋、ちょうど図書館に申し込んでいた本を受け取りに自宅近くの行政サービスセンターに行ったときのことです。
もともと、語学が好きで大学では外国語を専攻していました。若い頃はヨーロッパ放浪の旅の経験もあります。仕事柄、語学とは遠ざかっていましたが、自分の中で英語のやり直しをしたいと思っていた時期だったのです。

職場のパソコン教室で。スマホの授業風景

なので「日本語の勉強をしたい人」と関わる日本語ボランティアができれば、もしかしたら英語を使うことがあるかもしれない、私の英語が役立つかもしれないと思いました。外国の方が日本に来ても、言葉ができないと不便なことが多いはず。そんな方々が不自由なく暮らせるよう、日本語を話せるようになるお手伝いをしたいという気持ちを、そもそも持っていました。
そして、人のためにだけでなく、私自身、退職後の人生に社会奉仕という新しい道が拓けるかもしれないという期待もありました。

それで研修に応募し、去年秋から週末を利用して受講、今年になってフォローアップ研修を終了しました。

初対面なのに知り合いの人との会話のように

Sailを知ったのは、日本語ボランティア研修仲間が「 “県のたより”に、おもしろい活動が出ていた」と教えてくれたことがきっかけです。実は私は「県のたより」を見ていませんでした。横浜市民という意識が強いせいか、どうも神奈川県民意識が薄かったのかもしれませんね(笑)。今回、県でいろいろな事業を行なっていること知り、もっと県からの発信に注目しようと思いました。
インターネットで「県のたより」にアクセスして、申し込みをするとsailから説明会のお知らせや説明会を待たなくても登録さえすればすぐに使うことができる旨のメールがありました。なので、すぐにトライ。すると思いのほか楽しい。2月上旬にスタートして2ヶ月で30回ほど会話をしました。日本語ボランティアの勉強にもなるので、土日や空き時間にやっています。

初回は大変だったんですよ。自分なりに用意して5分前くらいから待っていたら、直前にキャンセル。がっかりした途端すぐに次の人が入ってきたので、とにかく始めてみたら今度は電波状況が悪くて会話にならない。だから第1回目は「なんだこれ」みたいな感じ。
電波状況が悪かったのは、ミャンマーの方です。私はちょうど9年前にミャンマーを旅したことがあり、そのとき突然の停電にも遭いましたし、wifi環境が悪いことは聞いていたので、どうしようもないことなのかなと思いました。もちろん、ミャンマーの方でも不安なくつながる方もいるので、そのときの電波状況次第ですけど。

2013年4月、ミャンマー旅行。バガン近郊、ニャウンウーにある
世界遺産のシュエズィーゴン・パゴダにて

2〜3回、同じ方とつながってお喋りすることもありました。インドネシアの男の子ですが、「仕事で来日して横浜に行く予定があるので、横浜のお話をたくさん聞かせてください」と。横浜のイメージというと一般的には港町、都会かと思います。彼もそうだったようです。「でも私の家からは港まで行くには、電車に乗って45分くらいかかるのよ」なんて話すとびっくりしていました。横浜には都会も田舎もあるんです(笑)。「家賃はいくらですか?」という質問もありました。私は賃貸の値段を知らないので、その場で調べて答えてみたり。そうですね、横浜の人口はお伝えできるけど、横浜の広さを説明するのが難しかったですね。

すごいなあと思ったのはインドネシアの女の子。話し始めてみたら、トルコの大学に留学中でトルコからアクセスしていたんです。インドネシア語、トルコ語、英語が話せて、アゼルバイジャン語もできると言っていました。アニメ『鬼滅の刃』のファンなので日本語を勉強したくてSailを使っているそうです。トルコの時間を聞くと、「夜中の2時です」と。そんな時間まで起きていて日本語を学ぼうとする情熱って素晴らしいなと感心しました。こういう方に出会えるのもSailの面白さですね。

Sailでお話しするほとんどの方が初対面です。ですから自己紹介からスタートしますが、その後は前からの知り合いのように会話が進む。「どこに住んでいるの?」「何をしているの?」「日本のどこに行きたいの?」とか。会話につまると、私の場合はよく食べ物の話をしますけど。考えてみると、日本にいて道端で外国の方とすれ違っても、そこまでの会話はしませんよね。でもSailだと、オンラインでつながった先の方がすぐ目の前にいる。そこでお互いに集中して25分間会話をする。それが終わると、変な言い方ですけどお互いの所在が不明になったり、かと思うとまたつながって「久しぶり、元気でしたか?」とすごく親しく感じる。そんな不思議な楽しさがあります。

それから、日本語ボランティア研修を受けた影響だと思いますが、会話をしながら相手の日本語レベルをつい探っていますね。この人にはこういう言い方をしないといけないかな、この人は敬語がわかるからもっと使おう、この方はちょっと英語を入れたほうがいいかななど、自分なりの工夫を楽しんでいます。初めて会話するときは、これは仕事でもそうですけど、ゆっくりわかりやすく話すよう心がけています。

いつか Sailでつながった方と会う機会があれば

職場のパソコン教室は生徒さんの多くが高齢の方です。コロナ禍で家に引きこもるようになった、会話をする機会がなくなって精神的につらいという声をよく聞きます。本当にコミュニケーションは大事ですね。
Sailを使えば、家にいても人とコミュニケーションを取ることができるし、そこで自分が満足するだけでなく、日本語をしゃべりたい方の力になれる。人の役に立つというプラスアルファがあるのが魅力ではないでしょうか。
今、生徒さんたちはパソコンより、タブレットやスマホをお使いになります。Zoomのオンラインレッスンもありますが、スマホでZoomを開くと画面が小さくて見えにくいと言いますし、なかなかハードルが高い。その点、Sailは操作が手軽ですね。私自身もう少しSailを熟知して、教室の皆さんに伝えていきたいと思っています。

私は、大学3年と4年の春休みに2回、リュックを背負って海外を歩きました。1回目は1ヶ月半ほど、ヨーロッパで鉄道乗り放題ができるユーレイルパスを持って友達と二人で周りました。専門がポルトガル語でしたので、ポルトガルへ行きたいという希望もあり、ロンドンから入って電車を乗り継ぎ、汚い格好をしていたのでホテルにも泊まれず夜行列車で夜を過ごしたり。けれど異文化に触れ、すごく楽しかった。その経験は人生の宝物です。息子が二人いますが「絶対にいいから体験しておいで!」と、二人とも大学生の時に私と同じような旅に出しました。大人になって常識が頭に入ってしまうとできない旅かもしれません。怖いもの知らずの部分がある若いうちだからできる旅かもしれません。

Sailで出会う方は若い人が多いので、なんでもチャレンジして欲しいなあと思っています。もちろんさまざまな国の事情、個人の事情から、そうできない場合もあるとは思いますけどね。

いつか、Sailでつながった方々が日本に来たときに、ほかのSailerさんたちと一緒に何かできることがあったら協力したいです。そんな企画が立ち上がれば力になりたいなという気持ちがあります。せっかく一度でもSailでつながった方と、そのとき限りでは残念なので、いつか日本のどこかで「あ~、あの時の方ね!」と言いながら実際に会うことができるといいですね。

(聞き手・officeSAYA 小出広子) 

 

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