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2022 Oct 15
Sailer Interviews

SailerインタビューVol.31

 

 

(愛機『機動戦士ガンダム』シャア仕様のPOCKETALKと共に

ICTで海外交流、SFファンの密かな楽しみ

横山さん(50代)神奈川県

日本語教師養成講座で学んだこと

大学卒業後、電子部品メーカーに35年近く勤務し、2年前に退職。
入社当時、コンピューターの業務利用は緒に就いたばかりでした。その後、「Windows95」の登場やインターネットの普及によってパソコンの利用者が急増。業務でも広範囲で活用されるようになりました。
もともとITが好きでパソコンに関わることが楽しく、パソコンを使っての業務改善、社内への普及活動、インフラ整備など、そんなことばかりやっていました。本来は役員秘書のような立場だったのですが、「それならIT部門への異動はどうか」となり、40歳を過ぎてから本格的にそちらに専念。退職までその方面の仕事をしていました。

退職後、文化庁認定の「日本語教師養成講座(420時間コース)」を受講。併せて、「日本語教育能力検定試験」にも挑戦しました。

こうした勉強をしてみようと思ったきっかけは、勤務先だった会社の海外進出にあります。
当時は日本企業がこぞって海外に進出し、次々と工場を設立していった時代。必然的に現地の人とコミュニケーションを取る機会が発生します。また、販売先としても海外が重視されるようになり、会社も英語教育に力を入れるようになりました。
私もTOEIC受験や通信教育、社内英会話サークルなど、それなりの時間を割いたつもりでした。しかし、肝心の英会話は一向に上達しなかったのです。
「海外の人と話がしたい。でも、これはもう才能がないのだ」と諦めの境地でした。
一方、日本語の在り方や言語というものが持つ力、といったことには以前から興味があり、思うところもありました。そこで「苦手な英語でどうにかするのではなく、むしろ日本語の側からアプローチするのはどうだろう」と発想の転換を図ることに。「海外の人との会話」という本来の目的に行き着くためなら、それもありかと。
さらに、せっかくなら我流ではなく一通りの知識や「教える」技術を身につけておくのも良いかもしれないと考えたわけです。

その後、この養成講座で学んだことによって、自分の英会話が上達しなかった理由も漠然とですがわかりました。それは、地道に単語の勉強をして語彙力を蓄えるのを怠っていたり、声に出して話すという練習をあまりしていなかったことなどです。要するに実践的な学習をしてこなかったことが大きかったんですね。
ちなみに私が受講した養成講座では、60時間の教育実習が必須でした。その間、数カ国のリアルな学習者の方々に教える機会があり、とても良い経験になりました。


Sailは知識探求の入り口

Sailのことは2021年の6月、日経BPWeb記事で知りました。ちょうど60時間の実習が終わって、「海外の人と話す機会がなくなってしまう。ほかに何かないだろうか」と思っていたところだったので渡りに船とばかりに登録しました。

Sailの利用は週に3日、1日あたり23名。これまでの会話数は230回余りです。
色々な国の人と話して「そんなことがあるんだ!」って新たな知識を得ることはとても楽しいですね。
例えばインドネシアは非常に広く、バリ島やジャカルタのような有名な場所以外にも様々な地域があります。それで地図を見ながら「あなたが住んでいるのはインドネシアのどの辺り?」と訊ね、気候や文化などを教えてもらうのです。そして、後でさらに詳しく調べて自分の知識にします。そういう知識探求の入り口としてもSailは有効ですね。


S.I.M Sailer』に参加した理由は、まず月額コーヒー12杯程度というのが一つ。
それと、IT好きとしては、新しい機能を使えるという点です。モニターユーザー的な役割を担うことが出来るかもしれないという思いもありました。それによってSailスタッフの皆さんとやり取り出来るようになれば、さらに楽しいだろうと。


「日本語を使う仕事に就きたい」、「日本で働きたい」と考えている世界中の人たちを対象にした日本語スピーチコンテスト『夢プロジェクト』にも強い関心を持っています。
国際社会において当然の権利として確立されているダイバーシティ(多様性)。既に海外では当たり前になっていますが、日本ではまだまだ社会に浸透しているとは言い難いですよね。
そんな中、日本で働くことを前向きに考えてくれる海外の方が増えれば、色々な視点でものが見られるようになり、それをきっかけにして日本も良くなっていく、ということが多々あるのではないかと思います。
様々な「多様化」がある中でも、これはインパクトが大きいでしょう。ですから微力でもその助けになれれば、という気持ちでいます。 


「ICT」と「海外交流」は好相性

趣味の一つがスキーで、シーズンになると2週間に一度のペースで方々へ滑りに行っています。
日本を代表する国際山岳リゾート「白馬八方尾根」は、以前から海外の方々の人気が高く、多くの観光客が来られるのはもちろん、近年はリピーターとなる方や、中には定住する方までいらっしゃるようです。コロナ禍以降はご多聞に漏れず厳しい状況ではあるようですが……。
そんなわけで、出来れば海外の長野ファンの方々とも繋がりたいですし、それでスキーの話など出来たら、さぞ楽しいだろうなと。ただ、今のところ伝手がないので、どうすればよいか思案中です。 

A: 例年12月下旬から5月中旬頃まで滑ります。春スキーの名所、新潟県「みつまたかぐらスキー場」にて
B: 日光白根山「丸沼高原スキー場」。鳥居はゴンドラ山頂駅の近く。夏場は「天空の足湯」も楽しめます
C: 春先のスキーでは、こんなレアな光景に出会うこともあります。3月「ホワイトワールド尾瀬岩鞍」にて

 

趣味と言えばアニメや漫画も挙げられます。
とりわけ『機動戦士ガンダム』には強い思い入れがあります。1979年、高校生だった頃に1stシリーズの放送が始まり、すっかりハマってしまいました。青春の思い出であり、会社員時代の仲間との共通の話題でもあり、今も現在進行形で楽しませてくれる特別な作品です。

そのほか、私にとってのベストアニメは『攻殻機動隊』ですね。1989年、士郎正宗によって発表された漫画を原作に、以降の様々な近未来SF作品に多大な影響を与えています。
あと『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』も名作だと思います。やはりSFの要素が入っているとけっこう響きます。
実のところ、この歳でアニメファンというのは気恥ずかしいところもあるのですが、そのお蔭でSailでの会話が盛り上がることもあり、何が幸いするかわからないものです。

「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」にて。2021年12月

Sailでの交流は、もちろんこれからも続けるつもりですが、今までより、もう少し踏み込んでいきたいという気持ちもあります。
若い頃からITSFに馴染んできたせいか、「コンピューター」と「異文化コミュニケーション」は相性が良いはず、と本能的に感じていました。実際、ここまでICTが発達したからこそ可能になったことが沢山あるわけで、子どもの頃の夢想や妄想に、ようやく時代が追いついて来たような気がしています。

自動翻訳の類も、この先ますます進化していくのでしょう。とはいえ、無機質に意思疎通さえ出来れば良いというものではありません。まず人間同士の生の会話があり、それをAIがアシストすることで、より円滑なコミュニケーションが出来るようになる。そのようにして、言葉の壁が克服されていくのではないでしょうか。
現在進行形で進んでいるこうした変化を、この先も当事者として楽しみながら関わっていけたらいいなと、そんな風に思っています。


(聞き手・ライター 松井京子)

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