Helte History -Episode5/5-

「“出会い”が僕を成長させる」

 Helte 後藤 学

ご縁を大事に、自分を信じて

多くの繋がりの中で生かされている僕

これは2021年5月現在の心境です。
「どう生きたいか」を考える一方で、最近は「自分はどう生かされているのか」についても考えるようになりました。
例えば、2021年5月に株式会社ウォームライト（現・株式会社ボーンマーク）から１億円の出資が決まりましたが、その経緯をお話しします。

あるとき、「Sail」を使っている日本のシニアのユーザーが、ゴルフ仲間である中国人のビジネスマンに「Sail」というアプリを使ってこういうことをしている」と話したのだそうです。それを聞いた中国の方が、面白そうだなと思って、うちの会社へ電話をくれました。スタッフが丁寧に対応したところ、代表とさらに話をしたいということになり、僕はその方とオンラインで話をしました。ちょうど資金調達をしなければならない時期でしたので、ストレートに「一口300万円の出資はいかがですか」と、そんなことも率直に話しました。

すると、それも「面白い」と受け止めてもらえたようで、その方の所属する勉強会に誘ってもらい、株式会社ウォームライトへ伺いました。勉強会には日本で会社を立ち上げて成功している華僑のビジネスマンが大勢参加していて、そこで僕はプレゼンをしました。最後に「皆さんに一口300万円の出資をお願いしたい」と伝えると、「300万では会社は変わらない。１億は必要だ」とウォームライトの社長、桂小川さんに言われました。それが2020年11月。そこから話し合いを続け、5ヶ月後にウォームライトと資本提携し、１億円の資金調達を受けることができたのです。
これを機に、300万人の在留外国人の方々への本格的なサービス提供を行うことになりました。

今回の出資は、僕の知らないところで「Sail」を評価してくれた人が繋いでくれたご縁でした。本当にいろいろな偶然が重なって今日があると感じています。
僕を取り巻く多くの人に、多くの繋がりの中で「生かされている」と感じています。

幸福な社会実現のため、自ら働きかける

「僕は大きな存在の中のほんの一部」と考えると謙虚になれます。もちろん「僕にはできる。僕は成功する」と言い聞かせなければならない時もありますが、一方で謙虚な気持ちが必要だと、すごく感じています。

僕の強みは何？と聞かれて考えたとき、臆病なところだと思いました。僕は心配性ですし、不安になりやすい。ただし、だからこそ少しだけ他人に優しくなれたり、深く考えられたり、準備をしっかりできたりという部分があります。一方でポーンとネジの外れているところがあるから、エイッと大胆に動ける時があるのかもしれないですね。弱みが僕の強みになっている。そんな自分自身を事業でもうまく表現していけるといいなあと思っています。こんなことを言うと、僕が僕自身を肯定したいだけのようですけど（笑）。

事業を通して、「ありがとう」と言われるときが本当に嬉しいです。自分の事業がちゃんと価値を生み出せているかどうかというのは、僕自身の大きな軸になりますから。
今、僕は「自分が幸福だと思える社会にするために、自分が働きかけること」をすることが、幸せになる道ではないかと思っています。そこへ向かって自分自身が打ち込んでいるプロセスこそが、自分を良い状態にしているような気がします。今は、まさにそんな状態です。

メンターでもあるクロードさんの言葉

応援してくれる方々への感謝の気持ち

現在、20人の株主がいます。不安定でいつ沈んでしまうかわからないような状態の船に乗ってくれた皆様、一人ひとりに本当に感謝しています。

会社を立ち上げることができたのは、最初に出資してくれたフランス人投資家のクロードさんのおかげでした。「マナ」と僕のことを呼び、いつも心配してくれるクロードさん。僕も何かあるとすぐに相談に乗ってもらっていて、今でも頻繁に連絡を取っています。
コロナ禍になる前は、よく来日されていて、その度に東京で会う時間をいただいていました。見るからにフツーのおじさんという感じで、面談の場所はほとんどが銀座のマクドナルド。ハンバーガーを食べながら話をして、紙ナプキンに、ちょっとした言葉を書いて渡してくれる。でも、その紙ナプキンに書かれた一言は僕にとってはものすごく価値のあるもので、僕はその紙ナプキンを大切にクリアファイルに入れて、会社に置いています。

僕を励ましてくれるクロードさんのメール

メールでのやり取りも多く、励まされた言葉はスマホに入れて、いつでも見返せるようにしています。直訳ですがふたつだけ紹介します。

「マナへ。
君はいつも強くあらねばならない。
直面する問題に対しては、いつも喜んで軽々とスキップして乗り越えていきなさい。
君の頭の中に渦巻く問題は、本当の問題ではなく、君のマインドが作り出しているものだ。そして、それは成長するためのひとつの契機でしかない。
今日、私が伝えたことは、ほんの些細な言葉だから、今の君には理解できないかもしれない。けれどいつか僕の言葉を理解してもらいたいし、君ならきっと理解できるだろう。その時私は、君の歩みをただ見守るだけになるだろう」

今年（2021年）の２月15日にクロードさんの奥さんが亡くなったばかりの時に送られてきたメッセージです。

「マナへ。
いつも心に留めてほしい。人生とは経験そのものだということを。全ての経験は、君に新しい思考や心、物の見方を与えてくれる。
当たり前の毎日こそが大切だ。全ての出会いがかけがえのないものだ。
決して時間を無駄にしてはいけない。
君の愛を、君自身に、君の愛する人に、大切にしている人にいつでも表現しなさい。（上記のことをやるには）人生は短すぎるね。
それでも人生は美しいよ」

今は何よりまず、彼に恩返ししたい気持ちです。

Helte History 5/5 -Fin-

（聞き手・officeSAYA  小出広子）　

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