Journal

2021 Jul 09
Helte's Story

Helte History -Episode2/5-

「何者でもない僕 -前編-」

 Helte 後藤 学


大学4年生の1年間に「Sail」の下地が

バックパッカーとして歩いた海外30ヵ国

インドから帰国するとすぐに就職活動、つまり就活に入りましたが、運良く1ヶ月くらいで就職先が決まりました。
大学の卒業単位もかなり取り終えていたので、知らない国をもっと見てみたいと、必死でアルバイトをしてお金を貯め、そのお金でアジアを1ヶ月間周遊し、帰って来てまたバイトに精を出し、再びアジアへ。帰国後またバイトをして、ヨーロッパへ。60~70リットルのバックパックに食べ物をぎっしり詰め込んで、それを背負って知らない国を歩く。
アジアは友人とまわった時期もありましたが、基本は一人。インとアウトだけ決めておいて、あとは成り行きであちこち見てまわりました。そうして大学4年生の1年間はバックパッカーとしておよそ30カ国を旅しました。

ドイツのミュンヘンにて。旅先で出会った友人とは今も交流が続いている

バックパッカーとして動いたこの旅は、どこに行っても自分はよそ者というのが心地良く感じました。ある土地で知り合いができても、電車やタクシーで移動し新しい町で下車すると、そこでは誰も僕のことを知らない。誰も僕のことを気にかける人はいない場所を歩きまわり、自由な気分を満喫しました。
そうしているうちに、日本にいるときに出来上がった「後藤学」という殻を脱ぎ捨てて新しい自分が生まれたような気がしました。幼い頃から自己肯定感が低かった僕ですが、こうした旅で自分のネガティブな部分を認められるようになり、自分と向き合えた実感がありました。

“外国へ行く”ということは、マイノリティになるということ。外国人になるということ。そこでいい思い出だけでなく、もしかしたら想像すらしなかった差別も受ける、想像以上の苦労をする。そうすることで自分と向き合うことができるのではないでしょうか。少なくとも僕はそうでした。

この頃、今思えば「Sail」誕生のひとつのきっかけになった出会いがありました。

英語を使って80代の女性とスカイプ

海外から帰国後、英語力を落としたくなかったのですが、お金は使い果たしています。せっかく鍛えた英語もこのままではどんどんしゃべれなくなると焦る気持ちでいたところ、アメリカで暮らす80歳の女性とスカイプでおしゃべりをする機会に恵まれました。
最初は、年齢が離れ過ぎているので共通の会話がないのではとの心配もありました。同世代の人とのおしゃべりの方がきっと楽しいだろうなと。英語のスキルアップのために始めたスカイプでしたが、何度も繰り返すうちに彼女のリアルな人生経験からくる話を聞きながらおしゃべりすることが予想以上に楽しくなりました。特に、僕はアメリカ留学中、公民権運動について興味を持ち勉強したのですが、彼女はその時代を生きてきているので、当時のことや自分の考えをたっぷりに聞かせてくれました。

高齢の彼女にとって「若い人と会話をするチャンスは滅多にない」と話していました。「まして自分の人生経験を聞いてもらう機会はないのだ」と、僕との会話を楽しみにしてくれていました。このとき僕は、人生経験の豊かな方との会話はなんて学びが多いのだろうと感じたのです。

ふと考えた祖父のこと

振り返ると、僕はずっと祖父母と一緒に暮らしていましたが、祖父母の人生を、経験を、きちんと向かい合って聞いたことはありませんでした。今はそれが残念です。
僕の知っている祖父は敬虔なクリスチャンで怒ることは全くありませんでした。口数は多くありませんでしたが、人に優しく、誠実で、何に対しても真摯で真っ直ぐな人でした。
現役時代、百貨店に勤務していましたが、百貨店の経営を勉強するために渡米もして、色々なショッピングモールを視察したとも聞いています。その百貨店にまだ日本にできたばかりのマクドナルドを誘致して、日本マクドナルドの創業社長藤田田氏と二人三脚で当時まだ日本人に馴染みのないハンバーガーを広げるために奮闘したそうです。同時に仕事仲間を自宅に招いて、浴びる程のお酒を飲んでそのまま仕事に行く日も少なくなかったみたいですが(笑)。
そんな輝かしいサラリーマン人生を送った祖父ですが、定年退職後は家にいて、僕の目にはどこか所在なげに見えました。祖父も何かきっかけがあれば、長年培ってきた知恵や経験を活かすことができたはずなのです。

多くのシニアたちも、祖父と同じ気持ちでいるのではないか。そのまま埋もれてしまう膨大な知識や貴重な経験を、次の世代へ少しでも繋いでいけたらいいな、と。そんな気持ちも芽生えていました。

サラリーマン時代の祖父


わずか1年間の会社勤め

仕事は毎日ワクワクの連続

大手通信会社へ就職し、会社から名刺が手渡された日。帰宅して母に名刺を渡すと、ものすごく喜んでいました。僕の目には母は、フリーランスだからこそ自由に好きな仕事をして生きていると映っていました。それなのに会社名の入った名刺を見て喜ぶ母を見て、息子には安定を求めているんだなあと、ちょっと意外な気もしました。

僕の仕事への思いはシンプルでした。就活の時から念頭に置いていた「新興国の人たちに貢献できる仕事」をしたいということ。日本にいる自分が仕事を通して、新興国の工場等の生産性を上げ、役立つことができれば、現地ではさらに雇用が生まれる。雇用された人はお金を稼ぐことができるわけで、そうすればその人の子供も学校へ行ける。大学にだって行ける。そういうサイクルを描いていました。
最初から、インドや米国のプロジェクトにアサインしてもらっていたので、会社側も僕の留学経験が生かせる道を考えていてくれたのだと思います。仕事に対して、毎日すごくワクワクしていましたし、不満はありませんでした。サラリーマン生活は楽しく、起業という言葉は全く頭にありません。会社で何年か働いて、その後海外駐在員として何処かの国へ行きたいなと、なんとなく思い描きながら働いていました。

東京で社会人生活がスタート

「一歩踏み出してみたい」という止まらない思い

それが半年くらい経った頃、僕にとってのエンドユーザーである現地で働く従業員との距離があまりも遠いということに気付くわけです。現地の人にどう貢献できているかの実感が持てないのです。自分が現地へ行けるのは、先輩たちの例からいって早くても4〜5年後だということも見えてきました。このままでは、自分のやりたいことを実現するのに時間がかかり過ぎるのではないか。

一歩踏み出してみたいと、突き上げるような衝動が抑えられなくなりました。感覚は海外旅行と似ているかもしれません。行ったことがないあの国に行ってみたい。でも、初めての国はちょっと怖い。でも、そこで初めてのものに触れてもみたい。現地の料理も食べてみたい。

自分が何をすべきかという明確なイメージが湧かない。先に見えている光はすごく小さくて、しかも霞んでいるようなあやふやなものでした。でも、そこへ向かって進んでみたい、チャレンジしてみたい。母からコピーされた、枠にはまらず自由に生きるというDNAがあったのかもしれません。

ところが母は「せっかく入った会社なのに、辞めて不安定な立場になるなんて考えられないし、もったいないこと」と、とにかく大反対でした。でも祖母が母に「しょうがないじゃない。自分でやりたいことがあるんだから」と取りなしてくれたのです。
会社に不満があるわけでもないのに、一歩踏み出すために、2015年3月、入社後わずか1年で退職届を出しました。

(聞き手・officeSAYA  小出広子) 

>>Episode3/5へつづく

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