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2021 Mar 24
Sailer Interviews

SailerインタビューVol.11

目指すは「おせっかいなおっちゃん」

浅野さん(50代)大阪

日本語教師目指し早期退職

30年余り勤務した損保会社を、昨年8月に早期退職しました。今は日本語教師目指して専門学校の養成講座に通っています。きっかけは2年前の語学留学でした。会社の昇格条件に一定の英語力が求められ、それをクリアした年にちょうど勤続30年を迎えました。会社から1か月間の特別休暇が与えられ、フィリピンの英語学校へ短期留学しました。そこで出会った先生が日本にとても興味をもっていて、日本のことをいろいろと私に聞いてくるのです。「どうしてそんなに関心を」と尋ねると「できれば日本で働きたいんです」と言いました。
「そうだったんだ」。話すうち、アジアの国々ではまだまだ日本や日系企業の人気があるのだなと感じました。そして日本で働きたいと考えている人たちが大勢いると知りました。その時「日本語教師になればそういう人たちに日本語を教えることができるし、海外で働く道も開けるのでは」、そう思ったのです。

短期留学したフィリピンの英語学校でスピーチ

実は私は45歳頃からボランティア活動に目覚め、美術館・国際美術展のガイドボランティアや、国際交流イベントの通訳・運営ボランティアなどをやっていました。そんな中で、いろんな活動に取り組むさまざまな職種の皆さんと出会い、私も60歳になるまでに何か違う仕事をしてみたい、と思うようになりました。2人いる子供たちもちょうど独り立ちしますので、この機会に自分がやりたかったことに挑戦してみようと思ったのです。妻も「目標があるのならやってみたら」と背中を押してくれました。

ボランティアとして参加した「大道芸ワールドカップ」会場(静岡市)で

必要とされる存在に

Sailは昨年11月、日本語教師の勉強を一緒にしている仲間から紹介されて知りました。ちょうどやろうとしていた日本在住の外国人相手のボランティアがコロナでできなくなり、「こういうのもあるよ」と、Sailを紹介してくれたのです。
学校では海外の人相手に実習する機会はほとんどありませんでしたから、とりあえずやってみようと思いました。やってみたら、私にとってとてもいいシステムでした。それからほぼ毎日、今は1日3回ほど会話しています。
相手はベトナムやインドネシアなど東南アジアの方が多いです。クーデター前はミャンマーの方が一番多かったのですが、今はあまりつながらなくなりました。ただヤンゴン以外の都市の方とはお話できることもあります。しかしそこでも「深夜から朝にかけてネットがつながらない」と話していました。早く状況がよくなるといいですね。

私が日本語教師を目指しているせいか、Sailでは日本語について質問されることが多いです。例えば「うれしいと、楽しいはどう違いますか」とか、「京都へ行くと、京都に行くはどう使い分けますか」など。日本人には気づきにくい質問が多いので、とても勉強になります。
日本に在住している方からは「日本人のあいまいな表現がわからない」とよく言われます。関西では何か頼まれごとをされた時「考えておきますわ」とよく言います。これはノーという意味なんですが(笑)、確かにこういう含みのある言葉はわかりにくいですよね。
私が日本語教師になったら、そんな生活上困る場面なども授業に取り入れて、学習者に寄り添える教師になりたいと思っています。
私自身、英語学習で苦労しましたが「楽しい」と思えることが一番のモチベーションでした。だから「難しい日本語」を「楽しい日本語」にする「笑いあふれる授業」を目指したいですね。関西人の最大の目標は「笑い」ですから。
そしてもし海外で働くなら「日本で日本語を学びたいけどお金がない」、そんな人たちが多くいる国に行ってみたいと思います。そんな場所で皆さんから必要とされる、「おせっかいなおっちゃん」になれたらうれしいです。

(聞き手・ジャーナリスト橋本節夫)